【ロングインタビュー】「独立リーグ1年、育成選手3年…野獣・亀澤恭平にチャンス到来」

亀澤「亀澤って誰だ?え、ホークスの育成だって?」

昨年の秋、まだ無名ながら全国の野球ファンの心をわくわくさせた選手がいた。彗星のごとく突如中日ドラゴンズ秋季キャンプに現れた『亀澤恭平』という内野手だ。

もちろん香川オリーブガイナーズのファンならご存知だろう。

地元の岡山県・作陽高校を卒業し、環太平洋大学で硬式野球部1期生として4年間を過ごした。同級生に尾中博俊(外野手/2011-13テキサス・レンジャーズ、14香川OG)、2学年下に又吉克樹(投手/2013香川OG、14-中日ドラゴンズ)がいる。大学卒業後は香川オリーブガイナーズへ入団。そしてその年の2011年ドラフト会議にて福岡ソフトバンクホークスから育成2位指名を受けた。

福岡ソフトバンクホークスでは育成選手ながらも、2・3年目は2軍戦にほぼフル出場。2年目にはファーム優勝にも貢献した。「ホークスは2軍でも1軍クラスのチームと言われていて、ここでの経験は技術面も精神面も全部成長できたと思います。」と3年間の福岡生活を振り返る。

1年目は46試合に出場し、打率.213にとどまった。しかし2年目は出場試合数が2倍以上跳ね上がり98試合、3年目も106試合に出場し、打率は3割前後をキープした。

昨年2014年は亀澤選手にとって育成3年目の年。育成選手は支配下登録のないまま3年目のシーズンが終わると、所属球団の次年度契約保留選手名簿から名前が外される決まりがある。

支配下登録への自信や、契約解除の可能性への不安などは感じなかったのだろうか。

「自信はありましたけどチーム事情ですから。たとえ僕が4割5割打っても、1軍メンバーが活躍していたら支配下にはなれないし、上には上がれないと思っていました。2年目の早めの段階で無理だなって分かっていました。」

福岡ソフトバンクホークスは足の速い若手選手が多く、選手層も他球団と比べても特別厚い。1軍選手がほぼ固定化されており、その大半がまだ若いため引退でできる空きもまだまだ先だろう。二塁手・三塁手・遊撃手をオールマイティーに守れ、俊足で堅実な守備が売りの亀澤選手だが、現在の固定化された1軍選手たちは2軍・3軍選手へ入り込む隙を見せなかった。

亀澤選手は、支配下登録は難しいという現状を早めに受け入れ、次の目標をたてそれに向け努力を重ねた。
「(支配下が無理だと判断し)割り切れました。その分次の目標や何をしないといけないかも早めに分かりよかったと思います。3年目でいったん契約解除になり、そこで来年の契約をするっていうのも結構早い段階で分かっていました。(ホークスに)残るようになれば残っても良いし、他球団でプレーする選択肢もありました。」

そして昨秋、中日ドラゴンズの秋季キャンプに参加しそのまま支配下選手として契約となった。若手内野手を放出した中日から亀澤選手への期待は大きい。1軍での起用も話に上がった。

1軍出場するとなると、対戦する投手はもちろん、対戦相手ほぼ全員のレベルが今までとは違ってくる。ファームでは打率3割前後をキープできたが、これからはそれも難しくなる。まだまだ技術を磨く必要がある。期待に応えたいですね、と目を斜めに落とし呟いた。

「秋季キャンプで2軍の佐伯監督といろいろ話をして、今までのバッティングフォームを大きく変えました。それが来年の春にどのように繋がってくるのかというのも楽しみの一つです。簡単に言えば、当て逃げのようなバッティングから、しっかり振り抜くようなバッティングにしました。」と、新天地で更なる野獣化をはかっている。

中日ドラゴンズへ入団後は、ベンチの中でも外でも良い意味で「チームの顔というかムードメーカー的な存在」になりたいという。

「変人ってわけじゃないですけど、ファンの人に早く名前を覚えてもらう為にちょっと変な言葉を使いたい。あいつ何考えてんだ?て思われて覚えられるようになりたいです。入団会見で言ったように“野獣のような”とか。そこでまず笑うでしょ?で、それがネットに載って、なんやこいつは?てなって、『亀澤』って覚えてもらえたら。これからもワケの分からない言葉をたまに使って、そう思われて覚えてもらいたいなと思います。」

今でも、香川オリーブガイナーズの選手と連絡をとっている。水口大地(内野手/

現埼玉西武ライオンズ)や甲斐弘樹(内野手/現香川OG)と連絡を取り合い、お互いの近況を話し合っている。今回の取材中にも又吉克樹や高尾健太(投手/元香川OG)とも連絡を取り合った。

一番印象に残っている選手は、同じ内野手だった国本和俊(元香川OG)。

「すごいベテランというか…香川OGに長い間(8年間)いて、記録も持っていますし(首位打者1回、ベストナイン3回、引退時点での通算安打・本塁打・打点・出場試合数はリーグ最多)。野球に関して真面目な方で、落ち着いてプレーしていました。真似しないといけないなと思っていました。僕がショート守ったりサード守ったりセカンド守っている時も、すごく安心できました。僕がホークス1年目の時は、フェニックスリーグで再会して一緒に食事に行きました。あの人は僕、リスペクトしています。」とMr.ガイナーズを讃えた。

最後に、「人生のターニングポイントであった独立リーグで1年野球をして、スポンサーの方々や、初めてファンという方達に出会って、やらなきゃいけないなという自覚を芽生えさせてくれた存在です。いろんな人にお世話になったし、親にも恩返ししたいしホークスにも恩返ししたいし、香川の人にも恩返ししたいっていうのが今の本音ですね。」と最後に改めて、今まで亀澤選手に関わった全ての人々への感謝を口にした。

昨シーズン中日ドラゴンズの大車輪として活躍した又吉克樹に加え、亀澤選手の入団。香川OGファンにとってこんなに来シーズン開幕が待ち遠しいのは、もしかしたら初めてではないだろうか。

(喜岡 桜)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です