【インタビュー】主将はバットを置く。宗雪将司の見てきた野球の世界。(12月31日 香川オリーブガイナーズ)

これから進む途

まだ決まっていなくて。
野球のあるなしは関係ないですね。NPBを目指すためだけに野球をやっていたんであって、見る野球や教える野球は興味なくて。
野球をやりたいというのがあるんだったら、そういうところで決まっていたとおもうんですけれど。
やりたいことってのはまだなくて。考えることは多いんですけれど、決めきれていません。

 

職業野球人を目指して

野球を何十年とやって、NPBへいって、コーチになって、監督やって、解説者になってっていうのが小さいころからの夢だったんですけれど、年齢が上がれば可能性が低くなっていくじゃないですか。
高校や大学の同級生で実業団とかで本気で野球をやっているのはもう自分だけですし、そういう意味では長いことさせてもらえたのかな、と。
大学卒業した時にもう可能性はだいぶん低くなってるというのはあって、その中独立リーグへきてでケガをして、もう一度頑張って。
NPBへ行くためにって頑張ってきたんですけれど、見てどうとか、教えてどうかというのはなくて。今も野球教室をさせてもらっても理論っていうのは人によってすごく違いますし、教えることの難しさは知れば知るほど。
年齢をとればとっただけ、難しさを感じて野球を教える仕事をすぐにとはいかなくて。

 

香川オリーブガイナーズという場所

5年間独立リーグの選手をさせてもらって、ある意味こんなに自由に野球をさせてもらったことがなくて、大学や高校では真っ暗になるまで野球をさせるわけですけれど、自分でやらなあかん、さらに自分で追い込まなあかんという気になりますよね。ガイナーズっていう場所は監督もよくいうんですが、全体練習は「ここはお前らがやってきたことを出す場や」と。「練習は終わってからやれ」って言われるんです。

ここでの野球はひとことでいえば、悔しいです。自分が主将になってNPBにも行けなかったですし、主将になってから総合優勝することはなかった。選手としても、チームとしてその主将としても目標をかなえられなかった。悔しかったですし情けなかった。
初めて出た試合は高知球場だったんですけれど、一打席目三振して、二打席目にヒットが打てたこととか、藤川球児選手の球をホームランできたこととか。自分の中で苦手だった井川選手(元高知)には(力を)抜いて投げられてたんですけれど、ホームランが打てて。その後は本気で投げてこられて三振だったんですけれども本気になってくれたことがうれしかった。楽しかったことはたくさんありましたけれども、やっぱり悔しい気持ちですね。

 

引退の決意

「今年が最後」のつもりではいたんですけれど、あごのケガですよね。あれでいろいろと思うことがありましたね。自分の中できっかけになったのはこのままやっててもNPB無理やな、とふと思ってしまったんですよね。あごのケガがあって、だからと言って完全には諦めていなかったんです。復帰した後に、優勝争いの中で何とか復帰できて。ヒットの1本も打てなかったんですよね。正直打てると思っていましたし、打てなかったことはショックでしたよね。
1カ月、2カ月何もできていなかったんですけれど。あそこで実力の差というものを思ったというか。実力がある人っていうのはそういうときでも何かができると思うんです。正直優勝争いの中でほとんどチャンスで打席が回ってきてたんです。俺が打てば勝てるっていう場面で使ってくれて。実力があることが「持っている」ってことだと思うんですけれど、俺はそこで実力を出せなかった。
俺にはそれがないんやなっていうのがあった。親は期待してくれてたり、おじいちゃんも思ってくれていてっていうのはあったんですけれど、これがきっかけかなと。
復帰へ向けて、復帰してから、できることは精いっぱいできたと思う。もしかしたらできないかもという中で何とか試合にでるところまでやって、それでも僕には出せるものがなかった。

 

主将として、先輩として

自分のなかで印象深いのは国本さん、桜井さんですかねぇ。二人とも面倒を見てくれるという先輩じゃなかったですけれど、いろいろ教えてくれましたし、何気ない一言が印象に残っていて。「お前は上に行ける素質があるんやから頑張れ」とか、「バッティング以外のことも大事」なんやとか。面とむかっていってもらったことばじゃないから向こうは覚えていないと思うんです。
国本さんも桜井さんも、あと大原さんも独立リーグが最後で悔しい思いでやめていったんじゃないかと思うんですけれど、すごくすっきりとやり切って残すものは残して辞めていかれたように思えたんですよね。ふだんから何気ないことばで何かをのこせるような先輩でありたいなと思いました。
自分が主将としてやらなければいけないのはNPBへ行ける選手のいるチームをつくること。もちろんNPBへいっても、無理だった場合にも社会でしっかりやっていけるような選手になれるようにしていくチーム作りをしたいと思い、話してきた。

 

NPBへ行ける選手、行けない選手

空気が変えられる選手か、そうでないかじゃないですかね。
去年いた大木なんかでもエラーや四球で出塁して、2盗、3盗して内野ゴロで帰ってくる。塁に出してしまえば、プレッシャーを掛けられて。赤松なんかも打席に立ったら調子悪くてもホームランが怖くて四球を出させてしまう。
相手が嫌がる空気が出せること、それがあることじゃないかと思います。
エースが投げれば打線が打つし、つまらないエラーもなかなか起きない。なぜか勝ちがつく投手とか、そういう空気を持っている、一打席、一投球、一回の守備機会で何かを変えられる。そういう選手じゃないかなと思います。

 

ファンの皆さんへ

 

チームを優勝させることができなくて申し訳なくて、応援してもらいながらNPBへ行けなくて申し訳なくて。ケガをして、ちゃんと働けるかわからない自分のような選手が帰ってきたときに暖かく迎えてくれたり。選手がまた入れ替わって若くなって、色が変わってくると思うんで。これからも今いる選手たちを大切に応援してくれたらと思います。

 

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