【インタビュー】津田洋道監督・伊藤伸由コーチ インタビュー① 〜名伯楽と新コーチ 育成型クラブへの道標〜(9月29日 高松ファイブアローズ)

TOP
日本バスケットボール協会会長は、サッカーJリーグ創設者である川淵三郎氏を据え、旧実業団リーグを前身としたNBLとプロリーグであるbjリーグとの統一トップリーグとして、B.LEAGUEがいよいよ来シーズンからはじまる。

今まさに日本のバスケットボール界は変革期にある。そんな中、高松ファイブアローズは一つの季節が終わりを告げ、変革期の最中、新たな一歩を刻もうとしている。

今回、星島球団代表は高松ファイブアローズは来年から始まる新リーグに向け、「育成型のチームを作る」という目標を設定した。高松ファイブアローズの事業でも中核をになうものに成長したといわれているアローズ・アカデミーやクリニックなどの育成部門だ。この育成部門は高松ファイブアローズがチーム危機に瀕した時代にも、前田前ヘッドコーチが自らでクリニックなどを行うなどもし、確りと繋いできた部門でもある。今回の伊藤コーチの就任、津田監督の人選もそれに沿うものだとしている。

2015年新生高松ファイブアローズ首脳陣の二人にその経緯などの話しを伺った。

高松ファイブアローズを通じて運命的にも引き合わせれた二人

──お二人の高松ファイブアローズに来られるきっかけを聞かせて下さい。

伊藤 先ず、星島社長からですね、今のチーム状況を変えていきたいという風な話がありました。私の知人の繋がりで星島社長の耳に入りまして、それで私の方にアクションがあったというか。私のバスケットボール理論とかそういうものを教えてほしいということで、星島社長とお話をさせて頂いて。それがきっかけになりました。

星島社長も高松ファイブアローズをこれからどんどん良くしていきたい気持ちと、やはりどこかこのチームがもっとより一層変われるようなチームになるためには、そのマンネリ化しているところを変えていきたいんだという話をされたときに、私は高松ファイブアローズを変えていくんであれば、育成型のクラブチームにしなくては、変わらないんじゃないですかね。という話をふったところで、星島社長の気持ちがなんというんですか、寄ってきたといいますか。

── 良い印象を持たれたわけですね。

伊藤 そういう話が始まったのがきっかけです。それで、これまでの経緯であるとか流れであるとか、その経営であるとか聞いたときに、やはり育成型も含めて、私はこの社長を助けたいという気持ちが出てきました。むしろ、共に戦いたいなという気持ちが私の中に生まれて。それで、星島社長にレポートを提出しました。私のバスケットボール理論を説明して、今の現状の高松ファイブアローズの、つまり先シーズンの高松ファイブアローズのゲームを見せて頂いたり色々した中で、やっぱり日本人選手の得点をもっと増やしてスピーディーなバスケットをした方が良いというのが始まりですね。それで、前田前ヘッドコーチから、私の方にオファーがあったようなカタチですね。

── 津田監督の高松ファイブアローズ監督就任の経緯について。新たに日本バスケットボール協会が発表したコーチライセンスの保有義務も理由としてあったとは思いますが、就任に関して驚きました。

津田 社長の考えは将来的な部分でプレーヤーのスカウティングも兼ねた狙いがあったんじゃないかなとおもうんですよね。それと色んな情報を色んな所から社長は聞いて。やっぱり伊藤コーチと波長の合う、戦略的にも合う人物を探していたところに、丁度のタイミングが合ったとも思っているんですけれどもね。それと、昔から香川の高松商業が強かってその頃強くした、香川県バスケットボール協会の会長になっている小野宏道というのが僕らと同級でね。昔は教員大会が国体にもあったんですけれど、その時よくゲームもして。ものすごい仲の良い間で。そういう関係もあって私にオファーがきたということでした。私も北陸高校を退いて、もう一回そんなチャンスを頂けるのであれば、香川の為に協力したいなという思いで。それでお世話になることを決めたんです。

伊藤 津田先生と私がいろいろな面で気が合うんですね。バスケットスタイルであるとか。その育成型ということに関しては、本当に。これまで話をしてはいないかったのですが、初めて会ったその日から。未だ契約が決まる前に、星島社長と福井の家にご挨拶に行きました。先生とお話をしたんですよね。

津田 伊藤コーチは宇都宮文星女子高等学校。女子のコーチでしたから。僕は北陸高校で男子の一本だからはっきり言ってほとんど面識なかったんですよ。

伊藤 そうですね。津田先生の教え子で同級生が私、大学で一緒なんですよ。

── 拓殖大学で、ですね。

津田 納谷幸二(現:岡山商科大学付属高校監督)です。

伊藤 そういう繋がりもあって、津田先生のことを知っていた。で、そこで納谷の方にも連絡して津田先生のことを聞いて。

── 丁度ご縁もあったような感じの巡り合わせで。

伊藤 納谷に津田先生とお前は気が合うと思うからと言われて。そうか、と。それで実際気が合って。私も気を遣わずに。

津田 まあね。思ったこと何でも話せるような間柄で。それでチームを強くしていこうということで。気持ちは一致していますので。その分だけ期待して頂けたらと。(笑)
やっぱり思っていることも言えんようでは、しょうがないからね。

── 指揮をお二人でということなのでしっかり話合いができないといけないですよね。

津田 伊藤コーチを見ていると、勉強家で非常に研究熱心でね。bjリーグのことも勉強しているもんで。僕らも正直あんまりbjリーグというのは興味なかったんですよ。正直な話。ちょっとショー的な要素も多分にあったし。教え子の中にはそこでやっている子も何人かいたわけですけども、あんまり観に行ったのも数回ぐらいしかないんですよ。それで来年から一本化されるということで良いチャンスだなと思ってね。それで今年が最後だから、最後をしっかりと飾ると同時に来年のスタートの土台にしたいなという気持ちで。

 

育成型クラブへの考えと期待

── 星島社長とのお話された中で、育成型のクラブにしたほうがいいというのは、何かアイディアありましたか。色んな話を見たり聞いたりされましたか。

伊藤 やはり、今野球でいうと、広島カープが凄い良い選手が出る。例えば、黒田投手が大リーグに行ったりであるとか、移籍したりだとか。カープ女子であるとか。広島カープが育成型だという風に思いますね。海外、ドミニカにもカープはアカデミーをもっていますよね。

そういう、ドミニカの若い選手がカープに入ってきたりだとか。そういう広島カープという球団にも私は魅力を感じていたり、あとは、その、広島でいうと、サンフレッチェ広島。また、セレッソ大阪。育成型でどんどん海外へ移籍をしていますよね。特にサンフレッチェ広島はビッグクラブの浦和レッズへの移籍があったりします。移籍されるというのは悲しいけれども、マイナスなことが大きいのかもしれないですけれど、例えば、そこの地元のスクールの子供たちにとったら、この球団のスクールにいると成長していったり、ここからプロになれたり、ビッグクラブに行けたり、海外に行けたりということがある、となった時に。

そういう風な球団にしたほうが魅力がある。そういう球団作りをした方が、大きく成長していくんじゃないですかねっていう所を社長にお話をしたりはしました。

── なるほど。

伊藤 それでバスケットボールで本当に今、育成型としてやっている球団が未だどこにもないんですよね。それをまず高松ファイブアローズから始めて。今まさに四国から。本州ではない育成型のクラブチームを作っていけば、本当にこの小さい県のなかでもすごいビッグクラブになっていくんじゃないかなという話をして。育成型がいいんじゃないかなという話をしました。

また、プロの世界に入って、アマチュアとプロの違いはあるんですが、アマチュアでやったことがプロの中でも活きるんじゃないのかと。

今、例えばサッカーもそうなんですけれど部活動のサッカーだけじゃなくなってきています。クラブチームでユースチームに入っていてそのままやっていけるカタチに今教育の中でも移行されてきています。これからバスケットボールも部活動だけじゃなく、クラブでプレーするというカタチも広まっていくと思います。少子化にもなってきていますしね。

── 教師をされながら、専門的な競技の技術や知識を教える、というのもものすごく大変なことですよね。

津田 そうだね、大変かと言えば、大変ですけどね。

伊藤 そう考えると、この育成型クラブであること。子供の成長を見るのは楽しいですし選手の成長を見るのもそうですけど、そういうことがプロの世界でも出来るのであれば挑戦してみたいなという気持ちもありました。その辺に関しては、特別プレッシャーという風には感じてはないです。プロと言うことでいろいろと格好つけている部分があるかもしれないんですけど。選手達は未だ、基礎、基本が整っていない選手が多いです。選手の成長を促す部分では通用していますし、手応えはありますので、私自身不安は特には感じていませんね。

── これからバスケットボールのクラブがユースチームを持つ流れにはなってくるとは思いますね。

伊藤 来年、これから、ユースチームはどこのチームも持たないといけなくなっていますので。そうなるとユースチームの全国大会とかも増えてくるとは思うので。そういったところを考えると、色んな育成とか教育を考えると楽しみなところはたくさんありますね。今まで、教育の中で培ってきたものがたくさん有りますので。子供たちに教えられます。

── 川淵会長から、バスケットボールトップリーグで20歳以下の選手を1クオーター1分以上の出場を義務付けるはなしも出ています。ユースチームの保有についてもこれから詳細な話になってくるとは思いますが、これから話がどう動いてくるのか。注目してみないといけないとは思いますね。

津田 そういう面では、これからが楽しみちゅうか。こんなことは今まで無かったことですね。全日本のナショナルチームの強化もこれまでとはコロっと変わっていますし。やっている選手も夢と希望を持って日本代表に入れるようにやっていく。これまでは代表に選ばれても、選手を、出す出さないみたいなところがあった訳ですが。いろんなしがらみがあって。結局日本のバスケットボール界はバラバラになっていた訳です。だから、これまで、生徒達、選手達はだいぶん犠牲になってきたんですよ。そういう日本代表としてのプレー、レベルの高いところでプレー出来るチャンスを逃しているのですから。そういう面ではこれから本当に希望が持てる。そういうバスケット界になっていくのではないかなと思っています。

伊藤 これからは本当に育成型になっていくと思いますね。

── この最近でも、高松ファイブアローズのアカデミー活動であるとか、各学校へバスケットボールのコーチングされに行っていましたね。

伊藤 私は、毎週木曜日、小学生のクラスと、中学1年生2年生クラスと。中学生2年生3年生クラスの3クラスを持っているんですけれど。その子達には、高松ファイブアローズはこういう練習をしているよ。とか、高松ファイブアローズはこういう風に走るチームにしているよとか。小学生、中学生、高校生に教えてですね。香川県をこういうバスケットを繋げていって、高松ファイブアローズのトップチームに入れるような。そんな育成型にしていけたらなぁという話をしながら、子供たちに教えていますね。

── 津田監督も一緒に行かれているんでしょうか。

伊藤 津田先生は色々忙しいことがあるので、これからですね。

津田 これからは協力したいと思っていますね。

伊藤 スクールには顏を出したいとおっしゃっていますので。是非ご一緒に。

津田 伊藤コーチとは一心同体だと言っていますから。(笑)

(記事:大津 将平)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です