【アナリティクス】香川オリーブガイナーズの前期優勝をデータで振り返る(後半・豪打!野手編)

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打線はチーム打率.262、出塁率.330、長打率.386というハイアベレージ。153得点は他チームの約1.5倍、他3チームの本塁打合計が30本に対し27本塁打と打ちに打ちまくりました。
併殺打23と失策28はリーグ最少。盗塁数以外の部門でリーグ1位を独占しています。

前期MVPに選ばれたのは新人大型捕手の赤松選手。 レクザムスタジアムで行われた4月16日の徳島戦では、本塁打と二塁打を含む5打数5安打6打点と大暴れ、チームの初勝利に貢献してグラゼニ賞を受賞。その後も打ち続け月間打率.469、11打点の成績で4月の月間MVPに選ばれました。 5月23日、四国Cスタ丸亀でのソフトバンク戦で起死回生の逆転サヨナラ3ラン本塁打を放つと、そこから最終戦までの8試合で5本の本塁打を打ちました。 打率.327はリーグ3位、9本塁打、26打点は1位と、リーグ初の三冠王も期待したいところです。
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赤松選手を陰で支えたのが同じ捕手の有山選手。 シーズン開幕直前に捕手の久森選手がチームを離脱するアクシデントがあり、捕手は赤松選手ただ一人という事態に陥っていました。 有山選手は昨年野球を引退し就職していましたが、ガイナーズの危機に引退を撤回して現役復帰を果たしました。
開幕から2連敗した3戦目、徳島戦で先発マスクをかぶると、竹田投手、松本投手のリレーで徳島打線を4安打無失点に抑える好リード。打線の援護なく引き分けに終わったものの、連敗を止め嫌な流れを断ち切りました。自身の成績は打率.233と低調でしたが、試合経験豊富な有山選手の存在が赤松選手のインサイドワーク面での悩みを解消し、ある程度打撃に集中する環境が作られた点は見逃せません。

赤松選手の打棒は凄まじいですが、守備面での負担を鑑みて打順は下位打線に据え置かれていました。クリーンアップは主に3番を原口選手、4番を中川選手が務め、シーズン終盤には5番に新人の松澤選手が入りました。セイバーメトリクスではRC(得点貢献度(wiki))という、その選手がチームの得点にどれだけ貢献したかを求める指標があり、上記の3人はいずれも赤松選手のRC 19.12を上回っています。
オープン戦の段階から評価の高かった松澤選手は全試合に出場。リーグ4位の打率.315、3本塁打は同5位、そして赤松選手に次ぐ21打点を記録しました。チーム3位のRCは19.88。俊足の持ち主で、センターの守備では広い守備範囲を披露してくれましたが、盗塁は成功1に終わっています。後期に向けての課題となりそうです。
同じく全試合出場の原口選手は打率.300、本塁打1、打点9。従来の打撃評価ではインパクトが弱い数字ですが、セイバーメトリクスの評価では変わってきます。出塁率.417はリーグトップ。第二のリードオフとして打線を機能させ、最多の24得点を上げました。RC 21.52はチーム2位となっています。
主砲の中川選手がチームトップのRC 21.56を叩き出し、4番の面目躍如。怪我で9試合欠場した中でのこの成績は見事です。 打率.337、出塁率.410、7本塁打はいずれもリーグ2位。長打率.651は本塁打王の赤松選手をも上回る1位の数字です。欠場が響き18打点にとどまっていますが、後期の積み上げ次第では赤松選手と同様に三冠王の可能性が残っています。ハイレベルな競争が見られるかもしれません。
大木選手が34試合で21盗塁と走りに走り、ダントツのリーグ1位。2位は徳島の鷲谷選手と増田選手の9個ですから、倍以上の差をつけています。最大限の警戒をかいくぐり、87.5%と高い成功率を誇るリーグ最高のランナーです。 守備では本職のセカンドに加え、ライト、レフトを守り1失策と堅守。 打率も.291でリーグ7位。RCはチーム5位の18.53と前述の4人に次ぐ活躍ぶりでした。
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大木選手とセカンドの守備位置を争ったのが、新人の伊東選手。打率.221、盗塁0、4失策と大木選手と比べると見劣りのする成績ですが、チームで4人しかいない全試合出場を果たしているところに期待の高さが窺えます。4月25日の徳島戦では本塁打も放ちました。
新人で次に出場機会が多かったのは加藤選手で、主に途中出場ながら32試合に出場しています。5月31日の前期最終戦ではスタメンで出場し、2本の長打を放って成長を見せつけました。
腰の怪我の影響で4月は出場機会がなかった岡村選手は、5月1日の高知戦に代打でデビュー。初打席でセンター前ヒットを放つと、牽制悪送球とワイルドピッチで初得点を記録。5月4日には一死満塁の最終回、サヨナラの押し出し四球を選ぶなど強運ぶりを発揮しました。
甲斐選手が脚の怪我でチームを離脱した以降は徐々に出場機会が増え、最終的には打率.152に終わったものの、守備力のある甲斐選手の穴を埋めました。
その甲斐選手は離脱するまで22試合に出場。遊撃を主に守りわずか5失策と安定した守備でした。打率は.225も、進塁打や犠打といったチームバッティングが持ち味の玄人好みのプレイを見せてくれました。後期には復帰してチームを助けてくれる事でしょう。
玄人好みといえば、首浦選手も当てはまるでしょうか。 練習生から這い上がってきた苦労人。そもそもアイランドリーグにやって来た経緯というのが、一昨年に行われたウインターリーグに自費参加したというハングリー精神の持ち主。規定打席を満たしておらず、14本のヒットすべてが単打とはいえ打率.304。派手さはありませんが堅実なプレイが持ち味です。
練習生上がりの苦労人といえば、丸山選手もいました。 出場登録されたのはシーズン終了の4日前。4試合の出場で6打席に立ち、安打はなし。 本来の守備位置は二塁手ながら、普段はブルペンで投手の球を受ける縁の下の力持ちです。
不振を極めたのは中本選手、カークランド選手の二人。 すでに退団したカークランド選手は51打数7安打で打率.137、24三振とまったくタイミングが合っていませんでした。 昨年の本塁打王、中本選手も63打数11安打、打率.175。本塁打わずかに1本は寂しい限りです。今年の中本選手はボール球に手を出して空振りする場面が目立ち、26三振。後期の復調が待たれます。
最後に紹介するのはキャプテンの宗雪選手。 チームを牽引する重責からか、打率は.221と低迷も4本塁打17打点と長打力と勝負強さは健在。今年、アイランドリーグの新たな試みとして北米遠征が行われ、先日選抜チームの発表がありました。ガイナーズからは宗雪選手を含め選手9人が選ばれ、アメリカへ武者修行に旅立ちました。 ガイナーズのキャプテンという立場から離れ、本場の野球とふれあう事で復調のきっかけになる事を期待しています。

残った選手たちにしても、2次選抜チームが編成され国内の強豪チームとの交流戦が組まれる事でしょう。 また、阪神タイガースやテキサスレンジャーズで活躍した藤川球児投手が高知ファイティングドッグスに入団し、同一リーグに生きたお手本が所属する事になります。 レベルの高いプレイヤーたちと交流しながら切磋琢磨し、後期シーズンはより成長した姿を見られる事が期待出来そうです。

(記事:芝中 一嘉)

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