【シーズンプレビュー】カマタマーレ讃岐J3開幕直前展望~挑戦し「真なる結束」でJ2に「必ず」戻る(3月9日 カマタマーレ讃岐)

2019年3月10日(日)、Pikaraスタジアムで13時キックオフとなる「いわてグルージャ盛岡」との一戦で開幕するカマタマーレ讃岐、初の明治安田生命J3リーグ。では、このカテゴリーで2位以内と勝ち取り、明治安田生命J2リーグへ1年で復帰することが最大かつ唯一無二のミッションとなる彼らはどのようにして34試合を闘い抜こうとしているのか?今回はプレシーズンで見えた大いなる挑戦と真なる結束法にも触れながら、カマタマーレ讃岐の開幕直前展望を行っていきたい。
(写真:1月12日に初の公開で行われたカマタマーレ讃岐2019シーズン新体制発表会での記念撮影)
 <文・写真:寺下 友徳>
ミーティングの「輪」、各所に出現

 1月14日(月・祝)、三豊市緑ヶ丘運動公園での始動から2月下旬の高知キャンプ、そして開幕が近づくにつれ、カマタマーレ讃岐のトレーニングにはここ数年なかった光景が生まれている。それはメニューの合間に生まれるミーティングの「輪」である。

 

ある時にはDFライン、アタッカー陣のパート別。またある時には選手同士の1対1で。「一匹狼」のイメージが強いFW木島 良輔も副キャプテンの肩書以上に積極的に若手選手と会話を交わす。さらに上村監督や石原田 啓ヘッドコーチをはじめとする首脳陣と選手との会話も多い。3月8日の練習後には練習を終え、私服に着替えたMF永田 亮太が疑問点を上村監督に尋ねる場面もあった。

 

ただ、この新たな風習は決して一朝一夕に生まれたものではない。「チームというものはお互いが話をする関係性でないといけない」上村監督が指針・基準として掲げた大綱の下、始動日から1カ月以上をかけ、様々な試合映像からグループミーティングを重ねてきた積み重ねがここにつながっているのだ。

 

では、一連のコミュニケーションにより生じるであろう好影響は何か?昨年開幕時は今季J1に復帰した大分トリニータのキャプテンを務め、昨年夏の期限付き移籍から今季は完全移籍でカマタマーレ讃岐の新キャプテンに就任したDF30竹内 彬はこう語る。

 

「コミュニケーションが多くなったことでボールを使った部分はもちろん、いい状況でのコーチングにも『ナイス!』という声がかかるようになりましたし、(失点への)危ない場面も防げるようになってくると思います」

 

また、今季は地産エースとしての期待が高まるFW21福家 勇輝は「僕がゴール前でボールをもらいたい位置や、崩し方について会話しています」と戦術面の効果についても言及。「最終的には僕がベンチに座って何も指示しなくても『すごいなあ』と思いながら見ていられれば」(上村監督)理想のチーム作りへ向け、カマタマーレ讃岐は日々挑戦を続けている。

 

ボールを「前に運び」、変幻自在に攻め、守る

 

 ただ、やみくもに挑戦するだけでは勝利とJ2復帰は到底得られない。当然「勝利から逆算した戦術」が必須である。ただ、その点もプレシーズンを見る限りぬかりはなさそうだ。

 

今年、カマタマーレ讃岐におけるトレーニングの流れはほぼ決まっている。まずはその日のテーマを暗示した条件を入れたパスコントロール。様々なシステムに対するポゼッションやボール奪取トレーニング。そしてゲーム形式。全体練習後には各人の課題トレーニングの時間も取られる。

 

かつ、引き出しも多い。攻撃を例に取れば「ボールを後ろから前に運ぶ」目的が達成できれば、さしあたりの基本フォーメーションである「4-1-4-1」を相手・状況によって変化させることもたびたび。しかも選手たちは「僕の考え方を理解しているし、一生懸命に取り組んでくれる」意図をもって獲得したMF17池谷 友喜(副キャプテン)、MF8赤星 雄祐、DF20柳田 健太といった元ロアッソ熊本ユースコンビをはじめ、それをまったく苦にしていない印象である。

 

実際、上村監督はこう明かす。「勝ったからメンバーを固定するということはありません。相手のシステム・タイプ。自分たちの戦い方やコンディションを見てメンバーは決めますし、30人でリーグを勝ち取ります」

 

そして池谷は言う。「僕の特長は相手にとって嫌なことがそしてユースの時に上村さんに言われていた切り替えの部分は意識しています」。ボールを前に運びながら、相手にとって嫌なことを、アグレッシブに、変幻自在に行う攻守。そして全員が同じ方向を向いて取り組み「チームを成長させながら昇格する」。これこそ今季のカマタマーレ讃岐にとって最大のキーワードである。

 

もちろん、その先にあるものはネガティブな「J2復帰→J2残留維持」ではなく「J2復帰→J1への土台づくり」というポジティブな光さす場所。だから、今季は皆さんもそんな作業にぜひかかわり、楽しんでほしい。そして12月8日のJ3最終節には、その最初の壁を超えた充実感からの笑顔でフィニッシュを迎えようではないか。

ロアッソ熊本ユース時代に上村 健一監督の指導を受け、今期新加入で副キャプテンとなったMF17池谷 友喜

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