【ロングインタビュー】悩みと変化。若きガードコンビが2017-18シーズンを振り返る～前篇(6月22日　香川ファイブアローズ)

22勝38敗。昨季より成績を上げた香川ファイブアローズ。
B２リーグ3季目となる次年度へ向けて、大澤、石川、安部、筑波、木村との契約を更新し、B2参入以降初めての継続路線へと舵を切った。
若手育成を謳いながら、チームから育ったと言える選手も不在だったファイブアローズ。来季は腰を据えた、選手の伸びが期待できるのかもしれない。

中でも、苦戦が当初から予想されたガードでは、青森でスターターを奪われ、失意の遺跡だった木村啓太郎、奈良で選手契約を勝ち取れずに香川で陽の目を見ることができた石川智也の2人は、プレータイムと共に自信をつかみ、成長を見せた。
だが、2人ともリーグのスタンダード、そしてワン＆オンリーへの道程はまだまだ長い。現在位置をどのようにとらえているか？昨季の振り返りから聞き出す。(前中後3篇予定)

(聞き手：中条さくら)

(前篇)-悩み、最後の試合で自分のベストゲームができた。(木村啓太郎)

―今季の手応えと課題は？

木村：課題は智也みたいに状況に応じて誰を使うか（誰に打たせるか）の状況判断が出来ていないこと。手応えがあったのはドライブですかね。自分でも行くところはいって。もうちょっとシュートが入るようになれば上手くいくんじゃないのかなと。

―石川選手は今年プロデビュー。通用した部分、出来なかった部分は？

石川：ピック&ロールのところで外国人選手との連携は良かったと思います。ダメなところは前から当たられると、どうしてもひるんでしまい自分のプレイが出来ない。それが周りにも影響してしまうところです。

―ひるまないのは木村選手がいいお手本では？

木村：いや～、ひるんでますよ（笑）

石川：でも、そうは全然見えない。

木村：逆に止まらなくてミスになることも結構ありました。「止まれ、止まれ！」ってよく言われていました。

―今季、一番思い出に残っているゲームは？

木村：一番最後の山形戦です。8・9連敗した時に悩み、最後の試合で自分のベストゲームができた。最後だし、やりたいようにやろうと思ってプレイしたんです。そしたら、8点8アシスト。来季につながるプレイが出来たと思います。反面、最後になってようやく出来る自分ってダメだなとも思いました。全部できて当たり前なのにメンタルの部分でもまだまだだって。もっとメンタルも成長しなきゃいけない。ベストゲームでもあり反省すべき点が多いゲームでもありました。

石川：僕は仙台の2日目、泣いてしまった試合です。B1から降格したチームを相手に自分のプレイがどこまで通用するかなって思っていたんですが少しは勝利に貢献できたかなと。それに僕は4Qに出ることがあまりないんですが4Qにも出してもらえて最後までコートに立てたことが印象に残っています。

―木村選手の「Kぴょん」という愛称は？

木村：アローズに入って最初のTIP　OFFイベントで“Kぴょん”って呼んで下さいとお願いしました。青森の時、子ども達のクリニックに行き「木村啓太郎です」って自己紹介すると名前をめちゃくちゃ笑われるんですよ、「タロー」、「タロー」って。香川でもイベントの前クリニックに行ったんですがそこでも「タローだって」ってクスクス笑われて。笑われた時、僕は上手に対応が出来ない。なので“Kぴょん”でいってみようと。シーズンを通して皆が“Kぴょん”って呼んでくれて良かったです、大成功。

―そのニックネームもあって子ども達から大人気。サイン会では行列ができていました。

石川：そうそう、すごかった。

木村：あれ違うんですよ！来る人、来る人全員僕のサインだけ残ってる。他の選手のサインをもらって僕は1番最後。

―いや、それは木村選手に行列が出来ているからどうしても最後になってしまうだけ。

木村：それなら、良かった（笑）

―人気の秘密は

木村：僕は人気なんかないですよ。

石川：いやいや、そんなことない。人気あります。

木村：僕、青森の時は1番人気がなくて。不愛想だったんです、ファン対応も悪くて。だからアローズではそこも変えようと思って。もうちょっとブースターさんと話せるようにって頑張りました。

―石川選手の愛称は？

石川：選手間では“ロンゾ・ボール”って呼ばれてます。NBA選手の名前なんですけどシュートフォームが似てるらしく歩（大澤）さんがつけてくれました。ごく一部にしか広まってないけど。

木村：チームメイトは“ロンゾ”って呼んでいますよ。

―来季“ロンゾ”を広めてみては？

石川：そうですね、やってみようかな（笑）

―ニックネームは広まっていないけれど石川選手は女子人気が高い。

木村：ずっとズルいなって思ってました（笑）

石川：全然そんなことないですよ。

木村：またまた～。

石川：何人かは差し入れを下さったりするんですけど。少ないです、差し入れ（笑）。歩さん、竜一（堀川）さん、レジーはやっぱり差し入れが多い。

木村：僕らは強がって「そんなん別に･･･なぁ」って。拓朗（筑波）とかとふざけて「俺ら全然もらえないなぁ。でも俺らも頑張ってるもんな」って（笑）