【インタビュー】力強く飄々と。掴んだ技で飛躍を目指す~原田宥希にとっての北米遠征とは~後篇(7月26日 香川オリーブガイナーズ)

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香川オリーブガイナーズ、7月31日から後期リーグ開始。
26日開催予定の阪神タイガース2軍との練習試合が中止となってしまい、7月15日以降試合が雨で流れてしまって実力の程が見えにくいが、前期リーグ後半戦は明らかに完成度が増してきていた。
その中心にいたのは原田。北米遠征でも大活躍し、ピッチングの内容が変わったのにはターニングポイントと理由があった。

後篇~充実の後期へ~原田宥希にとってこの遠征は何だったのか?

遠征中、十分に海外旅行と野球を楽しんだ原田。
では、4先発2勝負けなしと、北米遠征で最も活躍した投手と言っていい原田。
口をついて出てきたのは、有頂天とは程遠い言葉。
なぜ勝てたのか?の問には、前期ある試合がきっかけになったことを告白した。

ー遠征の公式戦初戦に先発。最初から言われていた?

先発は行く前から決まっていました。
伊藤コーチから悩んでるって言われていて、出発前に決まったから、って言われて、「ハイ」と。
投げられるならどこでもって感じだったので、投げられるところでちょこちょこなげるんかな?くらいのイメージでした。

ー前期の好成績を受けて、自信や、自負はなかった?

(自負)はなかったですね。防御率はよかったかもしれないですけれど、4つ負けて、勝も1つしかない中で、選ばれてどこでなげんねん、と。
選ばれたことはうれしかったですけれど、僕が選ばれた理由が分からなかった。

-海外のバッターと対峙して見て感想は?

日本でいるときと一緒の感覚で投げていましたね。外国人選手という。こっちでいえばザックやポロ(ともに愛媛)をイメージしながら投げている感じですね。
スカウティングも試合前日に試合を見て1戦目はどういうバッターというのを見て行ったんですけれど。
キャッチャーは何番を気にして投げればOKでしょ、と言っていたんですけれど、そんなんでボコボコに打たれたら(恥ずかしい)って思いながら。
最初は変化球が全然きまらず、思ったところへ全然行かない、抜けるって、つらかったです。
皮がツルツルしていて変な感じ。
一人ひとり抑えるってことしか頭になかったですし、相手を見てこんなん狙っているのかな?くらいの感じで投げてましたし、どうして抑えられたかわからない。球がそんなに走っていたわけではないし。
サイドが見慣れないからかなと。

-最初からどんどん振ってきましたか?

振ってきますね。最初は当ててくるのもうまくてストレートで空振りがとれないと思っていたんですけれど、僕がボールに慣れてくれば空振りをとれるようになって。
特に掴んだというのはなかったですね。でも、なんか肩が強くなった?という感覚がありました。ストレートが速くなったわけではないんですけれども。感覚的なもんなんですけど。
こっちへ帰ってきてキャッチボールをしたんですけど、ボールがベタベタして逆に投げにくい。今では向こうのボールのほうが良かったくらい。
向こうは古いボールでもつやつやしていてキャッチボールには使えるくらいのボールでしたし、日本のボールとだいぶん違うのかもしれません。

ー4試合投げて、被打率.190、2割打たれませんでした。

真芯で捉えられた球がなかったかなって。当てられたらホームランだったんですけど、それ以外で(芯を食って)ボカーンて打たれたのはなかったかなぁ。特に何も変えてなかったしそのままの自分でどこまで通用するのかと思って行ったんです。成績を残せるとは思っていなかったんですけどね。
アメリカらしくインサイドがストライクをあまり取ってくれなかったんで、低めでも打たれるときは打たれるので相手の狙っている球でも打ち取れるか。キャッチャーが構えているところに投げたらうたれへんのかなあと。
狙い通り決まった時は打たれへんのと違うかという。

-前期の積み上げは役に立ったんだろうか?

前期中はこのバッターはこうやから、次のバッターはこうやから、って頭に入れて投げてたんですけれど、それでうまくいかなかったときにどうだっけ、どうだったっけとなってしまって自分でバタバタしてしまってたんですけれど。
巨人戦あたりから、何も考えずにマウンドに上がって感じたままなげようって、5回3失点で負けだったんですけれど、自責点はゼロでうまくいって。
考えずに投げようと、バッターを見て何を待っているかを感じて自分自身で余裕をもって投げようと。四球を出そうが死球をしてしまおうが次のバッターを抑えればいいじゃないかと余裕をもって投げよう、と。
ここで変わったかなと。
考えすぎてから回って自分から疲れて崩れてしまっていた。
(巨人は)知らないバッターばかりだし考えなかったのがうまくハマりました。

遠征でも死球3。前期も死球が多かった。

デッドボールは仕方ないなあというところがあって。
中学・高校からホント申し訳ないんですけど当てまくっていて。向けた球が全部バッターへ向かっていく。
でも面白いことがありました。ケベックで投げて、次の試合で、アップしているときに前の試合でデッドボールを当てた選手が寄ってきて。「俺が打ちに行ったからあたったんや、すまなかった。お前は悪くない。」と言いに来てくれて、アメリカってそういう考えなんだと、驚きましたね。「お前はいいピッチャーだ。頭がいい。」とわざわざ言いに来てくれたんです。(向こうの人には)頭よさそうにみえるんですね、僕(笑)

-一番良かった投球を振り返って?

ケベックで投げた7回1失点が一番いいピッチングでしたね。ゲームに集中しながら試したいことを試せた。
次の日が朝早かったのもあって、「みんな試合を早くせないかん」みたいなところがあって、自分の中でテンポを上げよう、テンポを上げようとしていて、もらってすぐばって投げる、日本でランナーを出すことが多くてできなかったことをやってみて。そしたら、今度はバッターが嫌がって(タイムを取って)止められて。
そしたら、今度は逆にゆっくり持ってみて。次は「早く投げろ」みたいな(駆け引き)。
自分の中で遊びじゃないですけれど、試したいことが試せて、長いイニングを投げれてっていうところでよかった。
ストライクをポンポンととれるようになって、それでテンポが良くっていうのを考えられるようになって。

-課題だった変化球、何かつかめた?

スライダーはだいぶん投げられるようになっているんですけれど、ツーシーム・シンカーがまるで決まらなくて。
キャッチャーからもサインが出しにくいって言われて。
もう一こ変化球を増やそうにも全然使われへんボールがあるのに納得いかない部分もあるんです。
自信もってストライクゾーンに投げられるのはストレートとスライダーだけ。
他は投げてみないとわからない玉です。投げないかんときは投げますけれど。うまくいく日はうまくいくし、うまくいかない日は全然だし。曲がりの大きさが違いすぎる。フォークみたく沈む日もあれば全く曲がらなかったりマウンドに上がるまで解らない。(苦笑)
ストレート系の球ばかりなので、球速が変わるボールが欲しいですね。チェンジアップを試してるんですけど上手くいかない。
常日頃の遊びの中からでも掴んでいかないといけないんですけれど、まだまだですね。
できてないのは死球とか四球とか。それをどこまで減らせるかですね。
遠征中も自分のミスで上げなくていい点をあげてたりして、ワイルドピッチでの失点とか。そこをなくしていけるかで勝てるか勝てないかになっていくんだと思いますね。

-逆に良かったことはなんだろう?

1か月結果をのこせたんかな?という、結果だけですねよかったのは。
勝ちたいんでやっぱり、負けるのは嫌なんで。そのやらなくていい1点(を減らしていくこと)にこだわりたいですね。
まず僕が投げる試合は先制点は与えず。長いイニングを投げて、先頭バッターをまず切って。
そこをしっかりしたいと思いますね。

ー後期は何を目指す?

まずは、成績自体をイーブンに持っていきたいので4勝4敗まで。とりあえず頑張ります。後期優勝したいんで。

ープロへの距離感は今どう感じている?

僕が上に行けたとしても上で通用するのかていうのは怖いですね。
行きたいという思いがありますけれども、行くのが怖いです。
今の自分では通用すると思えない。どれだけその怖さを払しょくできるかがまだ霞んでいますね。
体の強さだったり、変化球だったり、プロで通用する選手のレベルはもっと上。
でも、チームメイトがプロに行くっていうのを経験したことがなかった。去年はそういう中で身近な人でも行けるんだ、っていうのを経験して、その人たちにある何かが自分にあるかどうか。それを見つけないと。
僕じゃまだまだこれで行けるていうものがないです。
客観的に見て、体力面でも体が細すぎる。体を大きくするためにウエイトもするようにしてますし、ご飯も食べるようになりました。
この時期にどれだけ食べて大きくなれるか。そこから先はまだ。できてみて、なってみてどう感じるかだと(思う)。
今、原田の中にあるのは勝てる投手になるための渇望。
プロへ、それは今ある課題をクリアし、勝てる投手にならないと見えないモノという思いが原田を成長させる。
キャッチャーのリード通り投げることができれば北米の強打者をも抑えられる強い球を持つ原田。
ガイナーズファンへ前期の反攻、自身の3連勝を約束してくれた。ガイナーズ後期優勝へ、原田の投げる快刀乱麻の速球とスライダーに注目してほしい。

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