【インタビュー】南国さぬきの地で戦う氷の上の戦士たち ~香川アイスフェローズ 北川真史監督~

kitagawa2「氷上の格闘技」と言われる、アイスホッケー。直径76.2mmの黒いパックが氷の上を滑り、そして宙を飛ぶ。小さなパックを追い、体と体が激しくぶつかり合う。

そんな迫力を、私たちは目の前で味わえる!
香川県民には、馴染みが薄いアイスホッケーと言うスポーツ。
ここ香川には、アイスホッケーのクラブチーム「香川アイスフェローズ」がある事をみなさんはご存知だろうか。

あまり知られていないかも知れないが、1966年に「高松国際アイスホッケークラブ」と言う名で結成されたものがルーツというから、約50年の歴史を持つ。

そして、幾度かの名称・体制変更を経て、2009年に今の「香川アイスフェローズ」となる。

 

現在のチームの選手はそのほとんどが、北海道を始めウインタースポーツの盛んなところの出身者だ。
北川真史監督も、出身は北海道苫小牧。3歳の頃から、いつの間にか家にスティックやパックがあり、家の前に水を撒いて氷を張った場所での草ホッケーから始まったアイスホッケー人生。アイスホッケー全てが身近にあった。

なぜ、この南国四国の香川にアイスホッケーをしに来たのか?
「第48回国民体育大会の時、香川県が冬季競技のアイスホッケーを強化し、国体で優勝できるチームを作るために来ました。」

それから15年かかって、北川監督が選手時代の最後の年、2011年に国体準優勝を果たし、今は監督として優勝を目指している。そして、現在頑張っている選手たちも、国体優勝はもちろん、日本アイスホッケー連盟会長杯、Jアイスウエストなどでの優勝を目指している。
ここで、驚かされるのは「Jアイス・ウエスト・リーグ」では2005シーズンから参加し、9シーズン連続優勝していること。
香川アイスフェローズには高い能力を持った選手が集まっているのである。

 

しかし、アイスフェローズの選手は全員アマチュアなので昼間はもちろん仕事をしている。仕事終わりで練習をし、試合を行う事になる。
ここで問題になるのが、何人かが仕事の都合が付かなければ練習に参加できず、人数も今のチームは少ないので盛り上がりに欠けたり、セットの練習が出来ないなど、思うような練習が出来ないことだと監督は言う。

ここで、香川県民だけにしか味わえない、アイスホッケーの楽しみ方、魅力とは?と北川監督に聞いてみた。

「アイスホッケーはボディーコンタクトがあるスポーツ。例えば激しい当たりだったり、スピードだったりするのを、ボード一枚隔てたところで選手のプレーを目の前で見ることが出来る事。全国を探してもこんなところはあまりない。ほかの会場では、観客席があるので、遠く離れた場所からしか観戦することが出来ない。」
スティックがフェンスに当たったり、選手同志がぶつかりあったり、弾き飛ばされたり、パックが目の前に飛んできてボードに「ボン!」と当たるのを見る時の緊張感・・・。その迫力は、一言では言い表せない。

 

それだけ激しくぶつかると怪我も尋常ではない?
「足の膝の靭帯が切れてるし・・・前歯は全部差し歯です。」と、平気な顔をして北川監督は答えてくれる。

「アイスホッケーが好きだから!」

これほどまでに怪我をしても、アイスホッケーを続ける理由。まさにシンプルで明快。今、リンクを駆け巡る選手たちも同じ思い。
フェローズの選手たちは決して大柄ではない。しかし、防具を身に着けスティックを持ちパックを一身に追うその姿には気迫が感じられる。
ゴールキーパーの防具を付けて動くキーパーは、まさに機動戦士ガンダムに登場するガンダムそのものに見えてくる。

kitgawa1

北川監督に今季のチームの特徴を聞いてみた。

「得点能力のある選手が多いので、しっかり前半で得点を取って、後半はしっかり守って逃げ切る」

今季のフェローズの注目選手を尋ねると、

FW 大日向洋平 10
FW 畑中理   82
FW 前田健一  91
FW 人里翔太  81 (新人)
DF 宇正峻英  29

の5名の名前が挙がった。

香川県出身の選手も所属している。やはりここは、地元の選手にも活躍して盛り上げてもらいたい。
最後に監督からのコメント。

「アイスホッケーは日本では、マイナーなスポーツですが、北米をみると4大プロスポーツと言われる中に入っています。まずは、1回試合を観に来てもらって肌で感じてもらいたい。是非、足を運んでください。」

この北川監督、北国生まれで寒さに強いのか、私はスケートリンクで震えながら見ている中で、スエットのジャージ姿で指揮をとっていた。

こんな監督の姿を見ることもできるアイスフェローズの練習。
練習を見学し、そして試合観戦をすると、選手もアイスホッケーも身近になり、ルールがわからずとも、その魅力に取り込まれるに違いないと思う。
一度、アイスホッケーの試合を、観に行く事をお勧めする。


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(記事:木村美香)

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