5年間の夢の終わり。J2・22位でJ3降格決定。北野誠監督・9年間のラスト采配を飾れず(11月18日 カマタマーレ讃岐)
2018年11月17日(土)2018明治安田生命J2リーグ第42節
カマタマーレ讃岐0-2(前半0-1)京都サンガF.C.
得点:(京都サンガF.C.)前半45分:ジュニーニョ、後半46分:大野 耀平
Pikaraスタジアム 14:03K.O
記事: 寺下 友徳
―――――――――
(写真:退任が決まっている北野監督は虚空を見上げる。その胸には、どんな思いが去来しただろうか?)
11月17日(土)2018明治安田生命J2リーグもついに第42節・最終節。ここまで22チーム中22位とJ3降格圏内を抜けられずにいたカマタマーレ讃岐は、PikaraスタジアムですでにJ2残留を決めている20位・京都サンガF.C.戦に挑んだ。
カマタマーレ讃岐がJ2残留に望みをつなぐには勝利を収め、同時刻に愛媛FCとホームで戦うロアッソ熊本が引き分け以下。ないしはカマタマーレ讃岐が引き分けでロアッソ熊本が敗れて21位を確保した上で、なおかつJ3でJ2参入要件を満たさないアスルクラロ沼津が2位に入る他にない極めて可能性の低い条件の中、彼らは前半、元日本代表の田中マルクス闘莉王とセレッソ大阪、横浜FCなどで豊富な実績を持つカイオが組む長身2トップの圧力に苦しめられる。8分にはカイオからパスを受けた闘莉王の強烈なミドルシュートがGK清水健太の手をかすめて左ポストを叩き、20分にカイオが負傷でジュニーニョに交代した後もジュニーニョのドリブル突破にカマタマーレ讃岐は手を焼く。
それでも、北野誠監督、9年間の采配ラストゲームを飾りたいカマタマーレ讃岐は、ポゼッションとカウンターを併用して徐々に状況を好転させ、前半30分にはこの日は0トップの頂点に入った佐々木匠がドリブル突破後、ペナルティーエリア左手前からグラウウンダーのクロスをMF渡邉大剛に供給。これはわずかに合わなかったが、後半に期待を持たせる展開のまま、前半アディショナルタイムを迎えようとしていた。
しかし「今季何度もあった」(北野監督)一瞬のスキが試合を苦しいものとする。京都サンガF.C.は右サイドバックの石櫃洋祐のFKを受けたジュニーニョが高速ドリブルを開始。DF竹内彬のタックル、そしてGK清水のセービングもあざ笑うかのように交わしていった後、ゴールに左足でシュート。0-1。絶対に与えてはいけない先制点を献上してカマタマーレ讃岐は残り45分に入った。
後半は圧倒的なカマタマーレ讃岐ペースだった。6分には佐々木匠が強烈なミドルシュート。12分にはMF重松健太郎が決定的なシュート。16分には中盤で奮闘した田中英雄がミドルシュート。34分には交代出場のFW原一樹がFKを枠内に飛ばし、35分には市村篤司がCKのこぼれ球を左足ボレー。しかし、そのいずれも同点ゴールにつながらなかった。
この時点でロアッソ熊本は愛媛FCを3対0でリード。もはやJ2残留は風前の灯火となった後半アディショナルタイムにカウンターから京都サンガF.C.の途中出場FW大野耀平に2点目を決められた数分後、長いホイッスルでカマタマーレ讃岐J2夢の5年間と、北野監督9年間のカマタマーレ讃岐指揮は終わりを告げた。
試合後のセレモニーや会見では「自分の力不足。申し訳ない」を繰り返した北野監督。今季主将を務めたMF高木和正も声を詰まらせつつ「自分たちの力のなさ。結果が全て。申し訳ない」と話した。
なお、試合後に単独取材に応じた川村延廣社長は「サポーターやスポンサーの皆さんには声援を頂いたのに残念です。来季はユニフォームスポンサーについては継続して頂ける見通しだが、それ以外のスポンサーさんについては地道に進めていきたい。監督人事については現在人選中ですが、契約更新と同時に早急に進めたい」と今後について言及。
また、同じく単独取材に応じた小川徹チーム統括部長は、「練習場の問題では当初予定していたグラウンドが急きょ確保できなくなり、現場には迷惑をかけてしまった。僕は北野さんが辞めたら自分も辞めるつもりだったので、後のことをきちんとした上で辞めます」と、現在「チーム規律違反により謹慎処分中」の上村健一ヘッドコーチ、西村俊寛コーチの処遇含め、後任人事を整えた上でクラブを去ることを明言している。
苦しく、辛く、哀しみの中で終わった2018年のカマタマーレ讃岐。”この1年”を未来への糧としていくのか。それとも、さらなる哀しみの序章となっていくのか。
その分岐点は、ひとえにこれからあまり残されていないオフの振る舞いにかかっている。