【ロングインタビュー】元大リーガーから賞賛されたアイランドリーガー~香川オリーブガイナーズ 中川 竜也~
地方紙だけでなく、全国紙にテレビ、はては週刊誌まで取り上げられるようになっている。四国アイランドリーグplusは今、熱い。
もちろん、高知ファイティングドッグスに元大リーガー藤川球児選手が入団したからだ。
6月20日の交流戦では、先発投手として登場。2,900人あまりのファンで埋め尽くされた高知球場、すべての視線は投手藤川の1球1球に釘付けだった。
日本全国から注目されたそのオープン戦で藤川選手からヒットを2本、そして試合終わりに藤川選手から「いいバッティングしてるね~」と声を掛けられた選手が、香川オリーブガイナーズにいる。
-背番号68 中川 竜也選手。
小学3年生で野球を始めた時のポジションは捕手。そして、中学になると外野・投手。高校時代に本格的に投手となり、社会人野球のJR四国でプレーをした時も投手としてやってきた。
高校生の時には、スカウトが観に来るくらいのピッチングが出来ていたにも関わらず、社会人1年目、突然ストライクが入らなくなった。
迎えた社会人野球3年目。監督から「野手に転向してはどうか?」と勧められる。投手としての楽しさを知り、プロにもいきやすい、との思いは中川選手を「投手」というポジションに固執させる。それでも迎えた4年目、ついに投手を諦める。
投手を諦めてもプロへの途が諦められず、親の勧めもあり「外野手」として徳島インディゴソックスの門を叩いた。しかし、徳島での2年間でも結局思うようなプレーができなかった。
そして独立リーグ3年目、香川オリーブガイナーズへと移籍してきた。
香川では練習生からのスタート。1年目はチャンスに恵まれず、2年目となった昨年も支配下を勝ち取っても、すぐにケガで練習生に逆戻りで満足のいくシーズンとはならなかった。
香川での2シーズンも終わってみれば不完全燃焼、野球を辞めようかとも思っていた。
でも、そのあと参加したフェニックスリーグで中川選手はプロで投げる投手のボールを打ち、気持ちに変化が起きる。
「あと1年、もう一度、自分の力を試してみよう。」ガイナーズ残留を決めた。
2015年のシーズンが始まる。監督からの言葉はーー
4月11日、開幕戦。中川竜也は香川オリーブガイナーズの4番という大役を担っていた。
中川選手はいう、「自分はメンタルが弱い」と。昨年、好不調の波が激しかったのはそのためだ。
「昨年は、メンタルの強さ・技術がなかった。今まではめっちゃ考えてドツボに入ってしまう。試合が続くと身体もしんどくて落ちてしまっていた。」
今年になって考え方を変えた。今年は1試合打てなかったら、まず反省をし、それを踏まえて素振りをする。そして翌日に備えてのイメージトレーニングをする。
「明日はいけるぞ!」と思って床につくようにした。
意識が変われば結果も変わる。すぐに数字となって表れた。
途中、故障で欠場があったにも係らず、打率.337でリーグ2位(1位.347 蔣智賢(高知))、ホームランは7本(1位赤松9本(香川))でこれもリーグ2位という好成績で前期を終えた。
今シーズン、ここまでのハイライトは6月20日の高知ファイティングドッグスVS香川・徳島連合チームのオープン戦で。憧れのスーパースターから言葉をもらった。
「打席に立ち、藤川球児が投げてる!と思ったらアドレナリンが出まくりでしたよ。」
1球目は藤川投手が投げているところをしっかりと見た。そして2球目から気持ちを切り替え、配球を考えて、ストレートを狙った。鋭い打球はライト前に転がる、ヒットだ。
そして2打席目。
「始め、2回でマウンドを降りると聞いていたから、もう一度対戦できると思うと感動しました。」絶対打つ!フルスイングでホームランを狙った。本人は「少し打ち損じた」というが、2打席連続のレフト前ヒットとなった。
試合が終わり、中川選手が藤川選手から2ヒットを打ったという事でインタビューを受けているその時、鈴なりのメディアを引き連れた藤川選手がやってきた。
藤川選手と目が合うや、「あ!中川選手!バッティング、めっちゃいいね~!」と、声を掛けられた。
「一流選手にバッティングを褒められた!藤川球児に褒められた!」その時のことを話す中川選手の顔には、野球少年そのままの目の輝きがあった。
本音を言えば、今回の北米遠征には加わりたかったという。しかし、気持ちを切り替えて、練習、そして試合に臨んだ結果、思わぬプレゼントを受け取った。
もちろん藤川選手からの褒め言葉は自信になる。
しかし、北米で試合をしている選手たちの「実戦経験」には、かなわない。実戦で投手が投げる「生きた球」を、打つ機会の差は歴然としてある。やはり「生きた球」を打って実戦感覚を掴みたい。
そんな焦りに似た感情をにじませつつも、
「素振りでは身体のひとつひとつの使い方や、自分が振っているバットの音を確認しながらやっています。」
8月から始まる後期シーズンに向けて素振りや体幹トレーニングといった、たゆまぬ努力は続いている。
後期の目標は?
「チームとしたら、やはり総合優勝。独立リーグ日本一を目指します。個人の目標は・・・、そうですねチームメイトであり、ライバルの赤松選手を抜き、3冠狙いで!ホームランは15本以上。前期のホームラン7本中6本は5月に打ったので(まだまだいけます)。」
最終目標はもちろん「NPB入り!!!」
これから迎える夏本番。そこには自分との戦い、そして北米遠征で成長しているであろうライバルとの戦いが待っている。
勝ち抜く強い意志と確かな実力兼ね備え、中川竜也はNPB入りという夢に向かってまっしぐらに進んでいく。
(取材協力:コーヒービーンズショップ アロバー 国分寺店)

(記事:木村 美香)

