【アナリティクス】ガイナーズ「育成元年」の前期を振り返る。つまづきの4月、混乱のGW、そして生育盛期の5月。(6月5日 香川オリーブガイナーズ)

多度津高校(木村優介)ベンチ_R

前期31試合を終えて13勝18敗で3位に終わったガイナーズをデータで振り返ります。

打撃成績から見てみますと、チーム打率.260、出塁率.332はリーグ1位。
しかし長打の割合が少なく、本塁打5本はリーグワースト、長打率.330はリーグ3位の成績です。
盗塁16はリーグワースト。成功率も53.3%と低い水準で、期待値としては盗塁を仕掛けない方が得点の可能性が高くなっています。
逆に盗塁阻止率は22.9%にとどまっており、足を絡めた攻防で他球団との差が広がっています。得点111はリーグ3位。打率を見るともの足りなく映りますが、長打率からすれば妥当な数字と言えます。
投手成績の防御率3.17、失点124はリーグワースト。被打率は.237と悪くはありませんが長打を打たれることが多く、被長打率は.350。失点が多い一因と言えそうです。
与四球84、暴投12はリーグで最も少ない数字でしたが、失策43は最多です。
守りのミスで序盤に失点を許し、主導権を握れないまま敗れた試合が多くありました。

イニング別での失点を見ますと、初回が最も多く25失点。全失点の45%に当たる56点を序盤の3イニングで失っています。
今年のガイナーズは若い選手が多く、開幕前に「育成元年」を掲げていました。
育成の度合いはどうでしょうか。前期シーズンを3つのピリオドに分けて分析してみました。

最初のピリオドは、開幕からゴールデンウィークまで(4月2日〜4月24日)の9試合。2勝7敗で勝率.222とつまずきました。ホームランはこの時期に3本出ていますが、打率.217、出塁率も3割を下回り、得点は23と打線が低迷。投手成績も防御率3.69、失策11で36失点という成績でした。

次のピリオドはゴールデンウィーク期間(4月29日〜5月8日)の11試合。打率は.252と上向き始め、40得点を挙げています。防御率は3.47とわずかに改善しましたが、失点は大きく増えて57。自責点は37で、防御率に絡まない失点が20あります。

もともと投手の数が他球団よりも少ないガイナーズは連戦となると不利ですが、野手にも怪我人が出て守備シフトが日々入れ替わり、失策が23に増加しました。

最後のピリオドはゴールデンウィーク明けから最終戦までの11試合。試合スケジュールに比較的余裕があり、調整も行いやすい期間でした。
チーム打率は3割を超える.302で、48得点。防御率も大幅に改善されて2.44、失策も9に減って31失点と、やっと投打がかみ合いました。
この間の勝率は7勝4敗で.636。シーズンの最後で勝てるチームに育ってくれました。
秋の実りを期待できる内容になってきたと言えるでしょう。

後期の課題としては、投打の柱をしっかりと構築してもらいたいところです。投手陣では、前期シーズンを通して安定していたのはエドワーズ投手で、先発として白星が先行しているのは彼だけです。
中継ぎで活躍した太田投手も防御率2.16、被打率.175と素晴らしい成績ですが、ピリオド3の成績は防御率4.50、被打率.289と悪化してしまったのは気になるところです。
抑えの岸本投手は奪三振率が8.54と高いですが、日によっては制球が安定せず連打を浴びる機会が多い傾向があります。
原田投手は直近5試合の先発に限れば、防御率1.61、被打率.212という成績を挙げており、後期シーズンの活躍が期待できそうです。

防御率2.98の間曽投手は、リリーフ登板に限れば9試合で1.25という防御率。先発としてはチームで唯一完投を記録していますが、後期の起用方法に注目したいところです。打線は長打が少なく、迫力が不足しています。
クリーンナップの長打率は松澤選手.356、宗雪選手.404、加藤選手.386ともの足りない数字。
昨年8月に月間6本塁打、長打率.583を記録した実績のある松澤選手には同様の活躍が期待されます。

他球団に目をやると、愛媛はデニング選手が.583、徳島はジェフン選手が.618、高知はザック選手が.505と、長打率が5割を超える選手がいます。
徳島のジェフン選手は東京ヤクルトスワローズに移籍しましたが、小林選手が.495と5割近い長打率を記録しており、前後を3本塁打の張泰山選手、ホーキンス選手が固める主軸は強力です。

前述のクリーンナップだけではなく、新人選手の中からも主軸を脅かす選手が出てきてもらいたいところです。

規定打席にわずか1打席届いていませんが、打率.296と成長著しい湊選手や、将来性を買われ北米遠征に選抜された古川選手にも期待が高まります。

 

勝率 打率 出塁率 長打率 得点 防御率 失策 失点
period 1 2 7 0.222 0.217 0.286 0.300 23 3.69 11 36
period 2 4 7 0.364 0.252 0.333 0.325 40 3.47 23 57
period 3 7 4 0.636 0.302 0.365 0.356 48 2.44 9 31

(記事:芝中 一嘉)

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